遺産分割協議「3つの落とし穴」

m-yano

相続が発生し、遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」が必要になります。

ここで作成される「遺産分割協議書」は、一度内容に合意し署名押印すると、原則として撤回できません。

安易にハンコを押して後悔しないために、弁護士が実務で目にする「落とし穴」を3つ解説します。

全財産が判明していない

「とりあえず、わかっている財産だけで」と協議を進めるのは要注意です。他の銀行に口座がないか、生前に多額の引き出しがないかなど確認が必要です。協議成立後に別の財産が見つかると再度協議が必要となり、非常に手間がかかります。また、遺産分割協議書に、別の財産が見つかったときは特定の相続人が相続する旨記載されていた場合は、協議すら経ずにその相続人が取得することになってしまいます。

「とりあえず共有」という選択

不動産について、「とりあえず相続人全員の共有名義にしよう」という合意は、トラブルを先送りするだけです。不動産を共有にすると、売却や賃貸に出す際に共有者の同意が必要になりますし、相続人の一人が亡くなって次の相続が発生すると関係者が増え、さらに煩雑になります。よほど事情がない限り共有は避けて、不動産を取得する相続人を決めた上で、代償金の授受などで全体の公平をはかるべきです。

「口約束」で進めてしまう

「後でちゃんとするから」といった口約束を信じて不利な内容で署名押印してしまうケースもあります。遺産分割協議書は、一度作成すると法的に強い拘束力を持ちます。「騙された(詐欺・強迫)」や「重大な勘違いがあった(錯誤)」と証明し、合意を覆すハードルは非常に高いのです。少しでも納得できない点、不明な点があれば、安易に署名・押印せず、必ず一度弁護士にご相談ください。

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矢野 元美
矢野 元美
弁護士
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